大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(れ)380 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人藤井英男外七名の上告趣意について。

憲法二八条が保障する勤労者の権利も公共の福祉のためには制限を受けるもので

あつて、昭和二三年政令二〇一号が公務員の争議を禁止したからといつて、右憲法

の規定に違反するといえないこと、並びに、昭和二〇年勅令五四二号は日本国憲法

にかかわりなく、憲法外において法的効力を有し、憲法施行後も有効に存続するも

のであることは、当裁判所大法廷の判決の趣旨とするところである(昭和二四年(

れ)六八五号同二八年四月八日言渡当裁判所大法廷判決中の弁護人森長英三郎の上

告趣意第四点並びに第二点についての判断参照。)そして、同勅令は、所論昭和二

二年法律七二号一条所定の命令でないことは明らかであるから、同条の規定は同勅

令の効力に影響を及ぼさないことはいうまでもないところである。また、所論書簡

は、連合国最高司令官の要求を表示したものであること並びに、昭和二三年政令二

〇一号は、昭和二〇年勅令五四二号及び同勅令所定の右の要求に基き、その要求事

項を実施するため特に必要があつて制定されたもので、同勅令の要件を充足したも

のであり、これまた、憲法の規定にかかわりなく有効であることも当法廷の判例と

するところである。(前掲判決中の同弁護人の上告趣意第三点並びに同小沢茂の上

告趣意第一点についての判断参照。)そして所論ポツダム宣言及び極東委員会の原

則等に関する所論は、独自の法律見解であつて、訴訟法上かゝる主張に対する判断

を示さなければならないものではないから、原判決が所論のごとく説示してこれが

判断を示さなかつたからといつて、違法であるということもできない。それ故、所

論は、すべて採用できない。

よつて、刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、主文のとおり判決する。

- 1 -

この判決は、裁判官沢田竹治郎は合議に関与しない。また、真野裁判官の原判決

を破棄して免訴すべしとの意見(前掲判決参照)を除き、関与裁判官一致の意見に

よるものである。

検察官 竹原精太郎関与

昭和二八年五月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!